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『20世紀音楽の弧峰』
去る2月8日に作曲家が亡くなったので、あわてて聴
いてみる気になりました。柳田国男や内藤湖南というか
つての大知識人に比肩される伊福部と歌手で初めて博
士となった藍川のジョイントとなれば、自ずと内容が学
究的になるのでしょうか。聴いていて、少し近寄り難い
ものを感じました。
それはともかく、この機会に合わせて読んだ伊福部の
『音楽入門』(1951)では、音楽の原型は歌曲とされて
います。その意味では楽器と歌唱の協働を極めた「オ
ホーツクの海」は、このアルバムでふたりが達した頂点
かもしれません。
全体を聴き終えて、『ギルヤーク族の古き吟誦歌』以
下の前半の三歌曲集がなじみやすかったのですが、
『サハリン島先住民の三つの揺籃歌』の「ウルプリ
ヤーヤー」などのテンポのよい曲に意外なリズム感が
感じられて驚きました。
それにしても、伊福部の「民族」へのこだわりには、
改めて目を見張る思いがします。反面、その固有の音
楽観を結実させる作曲では、妥協を許さぬ独創的な姿
勢を貫いているように見えます。その手法は20世紀
音楽の国際的水準からみても、先駆的なものだったと
言えるのではないでしょうか。
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