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『久保田早紀楽曲はアレンジだけではないことを立証した』
若干のヒスノイズが残るものの、デジタルリマスターにより音の輪郭が抜群に明快になった。ジャケットもオリジナルに忠実に再現され、装いも新たにサウダーデが再登場した。
A面は、「異邦人」も含めて、久保田早紀音楽がアレンジだけに留まらないことを立証した作品群である。アコースティックで音楽を創作すること自体が普通は困難なのだが、久保田早紀は5曲全て、それぞれ表情や毛色の異なるアコースティック曲を創作している。声も歌詞も音楽も非常に素晴らしい。基本的に久保田早紀はアコースティックの作曲能力が非常に高い。それは特に本作および久米小百合名義の作品群に顕著なように思える。
B面はアレンジされた音楽世界が戻ってくるが、こちらも手加減は全く無い。ガラス細工のような繊細なタイトルトラック「サウダーデ」、ニューミュージックに属さない純粋な歌謡曲として完璧な最高完成度を誇る「九月の色」、切なく哀しいバラード「憧憬」、賛否両論に分かれるが個人的には大好きなシンフォニー曲「真夜中の散歩」、ラストには美しく壮大な「ビギニング」でアルバムが締めくくられる。これだけの作品群を眺めてみると、久保田早紀のひたむきな音楽創作姿勢に心を打たれると同時に、彼女が秘めている恐るべき音楽能力に対して、感動と言うよりは畏怖さえ感じる。
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